高感度を取るか、200mm を取るか

前記事で書いた高感度と手ブレ補正に対する考え方を踏まえて、ここでは RICOH Caplio R5 と Canon IXY DIGITAL 900 IS(10月5日発売)の比較をする。

前に RICOH Caplio R4 について Impress デジカメWatch のレビュー記事を読んで「いまどき ISO 100 でもノイズが入るとは何事か」と書いてしまったが、予断というのはよくないもので、改めて他のデジカメと比較してみるとそうでもないことに気付いた。

【実写速報】リコー Caplio R4

【実写速報】キヤノン IXY DIGITAL 800 IS

【実写速報】オリンパス μ750

【実写速報】富士フイルム FinePix S6000fd

これらの記事の「ISO感度別作例」の ISO400 と ISO800 の画像を比較してみると、最もノイズ感の少ないのはもちろん FUJIFILM FinePix S6000fd であるが、この 4つの中では OLYMPUS μ750 が最もノイズがひどいと感じた。

この μ750 が出た時、これは明らかに Canon IXY DIGITAL 800 IS を意識しているな、と思った。向こうが光学 4倍ズーム・ISO800・600万画素ならこっちは光学 5倍ズーム・ISO1600・710万画素という風に。高感度に対応すればいいというものではないし、大偏肉度非球面レンズといっても上の記事の作例を見るとワイド端 36mm 相当でも何だか波打つような奇妙な歪みがある(「ISO感度別作例」のすぐ上にある作例)。テレ端 180mm 相当でもよく見ると歪みがあるような気がする。それから μ750 は撮影時にも再生モードでもシャッター速度が表示されないという。

【新製品レビュー】オリンパス μ750

せめて IXY DIGITAL シリーズのようにシャッター低速の時だけでもシャッターボタン半押しでシャッター速度表示するようにしてほしい。動画が 640 x 480 ピクセルでもいまどき 15フレーム/秒とか、オリンパスは詰めが甘い。CAMEDIA FE-200 が 28mm – 140mm の光学 5倍ズームだがこれはエントリーモデルなので ISO 感度はオート(64 〜 400)しか選択できない。でも μ750 に関しては CCD シフト式手ブレ補正という技術をオリンパスも実用化できたということで、将来デジタル一眼レフの E-システムにもこの技術が移植されるだろうという期待が持てただけでも成果はあった。

さて、横道にそれてしまったが本題は RICOH Caplio R5 と Canon IXY DIGITAL 900 IS の比較である。前に「Canon PowerShot S80 の後継機が IS を搭載して光学 4倍ズームになったら」と書いたが、この IXY DIGITAL 900 IS が昨年10月20日発売の PowerShot S80 の実質後継機と考えていいだろう。PowerShot シリーズと違って絞り優先 AE/シャッター速度優先 AE/マニュアルモードがないけれども。 IXY DIGITAL シリーズの撮影モードの「マニュアル」というのは一般的に言うプログラム AE のことで、オートではできない ISO 感度設定やホワイトバランス変更や露出補正などができるだけのようである。絞りやシャッター速度を自由に変更できるわけではない。

【実写速報】リコー Caplio R5

IXY DIGITAL 900 IS のレビューはデジカメWatchでは現時点でまだ出てないので、上に挙げた IXY DIGITAL 800 IS と「ISO感度別作例」を比較して見た。ISO400 まではどちらも許容範囲、ISO800 となると若干 IXY DIGITAL 800 IS の方がましか。好みの問題かもしれない。IXY DIGITAL 900 IS は DIGIC III になったということでもう少しノイズ処理も画質も向上していることを期待する。「ISO感度別作例」のすぐ上にある作例でのワイド端 28mm 相当での歪曲収差は PowerShot S80 のレビューと比較した。

【実写速報】キヤノン PowerShot S80

被写体が同じでないので一概には言えないが、どちらもよく補正されていると感じた。PowerShot S80 は 1/1.8 型 CCD なので 1/2.5 型の IXY DIGITAL 900 IS とはレンズの実焦点距離も違うけれども、同じキヤノンのレンズということで同程度の品質は保たれているだろうと判断する。

IXY DIGITAL 900 IS は 28mm – 105mm F2.8 – F5.8、Caplio R5 は 28mm – 200mm F3.3 – F4.8。105mm で F5.8 というのは限界である。ISO400 が常用できるという前提でないと受け入れられない。対して 200mm まで伸びて F4.8 というのはコンパクト機としてはすごい。

シャッター速度の最速が Caplio R5 は 1/2000 秒、IXY DIGITAL 900 IS は 1/1600 秒だが、これまでデジカメで撮ってきた経験では日中のかなり明るい所で ISO50・F3.2・1/1000 秒でだいたい適正だったので、この明るさで同じ 1/1000 秒で ISO64(Caplio R5)なら F3.5、ISO80(IXY DIGITAL 900 IS)なら F4 である。銀塩では一度フィルムを入れたら 1本撮り終えるまで基本的にずっと同じ ISO 感度で撮らざるを得ないが、デジカメは自由に ISO 感度を変更できるので、明るい所では ISO 感度を下げればよい。1/1000 秒より速いシャッター速度は必要ないと思う。

店頭で実機に触れてみたのは今のところ Caplio R5 だけである。ステップズームは 28mm・35mm・50mm・85mm・105mm・135mm・200mm と 7段階あるが、ステップズームをオンにすると例えば 28mm から一気に 85mm に行こうとしてもいちいち 35 → 50 → 85 と一段ずつ進まなければならない。はっきり言ってステップズームは 28mm と 200mm 以外は 85mm と 105mm しか使わないと思う。使わない焦点距離をオフにできればいいのだが。それか ISO 感度を選択するようなやり方でメニューから各焦点距離を選択できるようになっていれば良かった。さらにそれを ADJ.ボタンに登録できるようになるともっといい。

それから Caplio R5 の液晶モニタはチラチラと明るくなったり暗くなったり落ち着かないような感じに見えた。家電量販店の店内という条件だからかもしれないが。これは最近のファームウェアアップデートで改善されたんだろうか。

リコー、Caplio R5の最新ファームウェアを公開 (2006年10月 4日)

あとはマクロモードの AF ターゲット移動機能で、フォーカスポイントの移動の動作が遅い。これだったらフォーカスモードを「マルチ AF」から「スポット AF」に変更して中央 1点のみの AF にしてシャッター半押ししてから構図を変える方が速いと思った。フォーカスロックはできない。中央 1点 AF があって「AF ロック可能」とある IXY DIGITAL 900 IS の方が優位か。

ここで ITmedia +D LifeStyle のレビュー記事を。

広角とマクロが楽しめる高感度機——リコー「Caplio R5」

新映像エンジンDIGIC III搭載で広角28ミリ、「IXY DIGITAL 900 IS」を試す

Caplio R5 はシャッター半押しで必ず絞りとシャッター速度が表示されるが、IXY DIGITAL 900 IS はシャッター低速になる時のみ手ブレ警告表示と共にシャッター速度のみ表示され、再生モードでは絞りもシャッター速度も表示されない。この点は Caplio R5 が優位。

Caplio R5 については、テレ端 200mm では解像度が甘い、手ブレ補正の効果はレンズシフト式より弱い、ISO200 でもざらつきは感じられる、といったところか。IXY DIGITAL 900 IS については特に気になるところはない。4ページ目に ISO 感度ごとの作例がある。被写体が違うのでデジカメWatchのレビュー記事と単純に比較はできないが、大体予想通りと感じた。

結論としては、ISO200/400/800 の画質と手ブレ補正を重視するなら IXY DIGITAL 900 IS、テレ端 200mm という画角と操作性を重視するなら Caplio R5 か。これまで絞り優先 AE 等のある Canon PowerShot シリーズで常に絞りとシャッター速度を確認してきたので、これらを基本的に表示しない IXY DIGITAL シリーズの設計思想に慣れるには時間がかかると思う。プログラム AE しかなくても常に絞りとシャッター速度を確認できる Caplio R5 ならすぐ慣れるだろう。

ただ最近のコンパクトデジカメに多いのだが、ストロボがシャッターボタンのすぐそばの、被写体から見てレンズ左上にあるので、これだと縦位置で構えてストロボ発光させる場合、ストロボを上にするためにシャッターボタンを上にして縦に構えなければならない。ストロボを下にして発光させたらおかしいので、これまでとは逆の構え方で上のシャッターボタンを押すのは慣れるまで時間がかかるかもしれない。コンパクトカメラは銀塩でもデジタルでも普通ストロボは被写体から見てレンズの右上にあるものだろう。GR DIGITAL のようにポップアップにできなかったのか。

いずれにしても急いでいるわけではないのでしばらく様子を見る。他社からもっといい物が出るかもしれないし。ちなみになぜ Panasonic LUMIX DMC-FX07 や FX50 を選ばないかというと、絞りが F2.8(ワイド端)と F8 の 2段切換えというのが信じられないからである。5 〜 6年前の FinePix を思い出す。DMC-LX2 はアスペクト比 16:9 にしないとワイド端 28mm にならない。

追記: 10月11日

Panasonic LUMIX DMC-FX07 や FX50 の絞りについて、「2段切換え(ワイド端:F2.8/F8)」とあるので、これら 2つの絞り値であとはシャッター速度のみで露出を制御するのかと思っていたが、そうではないらしい。他の絞り値が設定されることもあるようだ。それから「5 〜 6年前の FinePix」と書いたが現在でも例えば FUJIFILM FinePix Z3 は絞り「F3.5/F5/F8」とある。こうなると LUMIX を選ばない理由は、家電メーカーである松下のカメラを信頼できないとか、単に松下嫌いだからというだけになってしまうな。絞り優先 AE 等のあるデジカメを 4年半使ってきた者としては絞りもシャッター速度も 1/3 EV ステップで変化してほしいのだが、IXY DIGITAL シリーズはどうやらそうなっているらしいので安心した。

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高感度を取るか、200mm を取るか」への3件のフィードバック

  1. 僕は画像の Exif 情報に表れる絞りとシャッター速度を指して 1/3 EV ステップと言っています。この記事最初の文でリンクを張ってあるキヤノンのサイトの「実写サンプル」を御覧ください。

    「ポートレート」:
    シャッター速度 1/160 秒(1/125 秒より 1/3 段速い)
    絞り F3.2(F2.8 と 1/3)

    「静物」:
    シャッター速度 1/125 秒
    絞り F4.5(F4.0 と 1/3)

    「屋外/風景」1枚目:
    シャッター速度 1/200 秒(1/125 秒より 2/3 段速い)
    絞り F4.0

    「屋外/風景」2枚目:
    シャッター速度 1/800 秒(1/500 秒より 2/3 段速い)
    絞り F2.8

    となっています。これら 4枚ともオリジナル画像をダウンロードして Exif 情報を確認しました。ちなみにカメラ機種名の部分は欧州での商品名である「DIGITAL IXUS 850 IS」となっていました。

    追記: 10月13日 18:52
    ワイド端 28mm 相当において「F2.8/7.1の二段階」という意味ですね。了解しました。ITmedia +D LifeStyle のレビュー記事 4ページ目の作例で確認しました。ズームすれば当然開放 F 値も変化するわけで、そこに気付きませんでした。
    ワイド端 28mm 相当においては、ISO50・F3.2・1/1000 秒の明るさで ISO80 なら F4・1/1000 秒じゃなくて F7.1・1/320 秒でしょうね。

    いいね

  2. 言葉足らずですいません。
    IXY900ISとIXY400で、広角端の撮影画像をExifで
    確認すると、どれも全部F2.8かF7.1なのです。
    どうやらFX07やIXYやA20辺りのサイズ機だと絞りが
    二段階のシンプルな構造のようです。
    F30は絞り優先AEで細かく選べる様ですね。

    いいね

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