マクロを見て森を見ず

昨年2006年12月のこの記事で、マクロを本気で撮ろうと思ったら一眼レフが必要、なぜならコンパクトデジカメの多くは実焦点距離が短いから被写界深度が深く、背景をぼかす描写ができないから、と書いた。でも OLYMPUS CAMEDIA SP-550UZ のサイトにある実写サンプルの「サンプル画像1」を見ると、実焦点距離 9.84mm(Exif データより)、35mm 判換算 59mm 相当でもけっこう背景がぼけている。最短撮影距離 1cm 位まで近づけば実焦点距離が短くても背景をぼかす描写ができるようだ。わざわざ実焦点距離の長い高倍率ズーム機で望遠で撮らなくてもいいようだ。

SP-550UZ のスーパーマクロ、テレマクロ等の作例は Impress デジカメWatch の以下の記事にもある。

【新製品レビュー】オリンパス CAMEDIA SP-550UZ (2007年 3月29日)

【伊達淳一のデジタルでいこう!】オリンパス CAMEDIA SP-550UZ (2007年 4月 5日)

先月のこの記事の末尾で、同じく広角 28mm 相当からの高倍率ズーム機である FUJIFILM FinePix S6000fd とこの SP-550UZ を比較して検討し RICOH Caplio R6 は対象外と書いたが、最短数 cm のマクロであれば実焦点距離を気にする必要はないと思うのでこれも検討対象とする。昨年2006年12月の記事に書いたようにデジカメ選びの基準は基本的にマクロ最優先、次に広角 28mm からのズーム。

28mm からの高倍率ズームといえば Panasonic LUMIX DMC-TZ3 もあるがこれはマクロモードの最短撮影距離が広角端 5cm、望遠端 280mm 相当で 2m と明らかに上記 3機種より劣るので却下。

FinePix S6000fd には手ブレ補正機構がない。個人的には ISO800 までは使える画質だと思うので、望遠端で手持ちで手ブレしない最も暗いシーンでの絞りとシャッター速度、ISO 感度は

F5.0、1/320 秒、ISO800 (FinePix S6000fd)

だろう。昨年2006年10月のこの記事で書いたように、手ブレしないためには一般にレンズの 1/<焦点距離>秒以下のシャッター速度を確保しなければならない。デジカメで 35mm 判換算 300mm 相当の画角なら 1/300 秒以下。ここでは他のカメラと比較しやすくするために、すべての機種において絞り・シャッター速度・ISO 感度とも 1/3 段ずつ変化するものとした。だから FinePix S6000fd の望遠端開放 F 値は厳密には F4.9 であるがここでは F5.0 としている。

この手持ちで手ブレしない限界の明るさのシーンを他のカメラで同じく望遠端で撮るとしたら ISO 感度はどうなるか計算してみた。手ブレ補正効果はいずれの機種もシャッター速度 2段分とする。

F4.5、1/125 秒、ISO250 (CAMEDIA SP-550UZ)

F5.6、1/50 秒、ISO160 (Caplio R6)

F5.0、1/50 秒、ISO125 (Caplio R5、OLYMPUS μ780)

これを見ると ISO 固定で撮る場合は CAMEDIA SP-550UZ は ISO400 以上、Caplio R6 / R5 / OLYMPUS μ780 は ISO200 以上が常用できる画質であれば FinePix S6000fd より暗いシーンでも手持ちで撮れるということになる。Caplio R6 他はクリアしているが CAMEDIA SP-550UZ の ISO400 は微妙である。

【実写速報】オリンパス CAMEDIA SP-550UZ (2007年 3月 1日)

【実写速報】リコー Caplio R6 (2007年 4月10日)

ちなみにこの明るさで ISO50、F2.8 とすると 1/60 秒。自分が昨年デジカメで撮った写真の Exif データを見ると日中でも曇っていたり日陰だったりするとこのくらいになることがある。曇りや日陰でも FinePix S6000fd の望遠端は手ブレの恐れがあるということになる。

広角端で手持ちで手ブレしない最も暗いシーンというのも考えてみたが、シャッター速度 2段分の手ブレ補正効果とすると 1/8 秒〜 1/10 秒となりこれでは手ブレしなくても被写体ブレする確率が高くなる。広角端では素直にストロボ発光する方が良い。

ということで長い焦点距離でのマクロを撮りたい、ISO400 は許容範囲というなら CAMEDIA SP-550UZ、実焦点距離の長さにこだわらないなら Caplio R6 となる。でもよく考えたらマクロ最優先といってもデジカメで本当にマクロしか撮らないわけではない。カメラとしての総合的な機能を考えると自分にとっては Caplio R6 か。SP-550UZ の 504mm 相当の超望遠で一体何を撮ればいいのか想像できないし、15 コマ/秒の超高速連写とか、シャッター半押ししてから押し切る直前 5 コマを記録するプリキャプチャー機能とか、自分には使いこなせなくて持て余しそうである。あとレビュー記事にある起動が遅い、AF が遅い、日中の明るい所では液晶モニタの見えが悪い等もマイナス要素。

となると現時点で本命は Caplio R6 なんだけど、これは Caplio R5 と比較すると顔検出機能を除いてどう見てもスペックダウンとしか思えないのである。望遠端開放 F4.8 → F5.2、マクロ望遠端最短 0.14m → 0.25m、それからボディ正面を見ると R5 までは AF 測距窓があったのに R6 は AF 補助光/セルフタイマーランプしかない。R4 / R5 や GR DIGITAL、Caplio GX100 でも採用されていると思われる外光パッシブ AF + CCD-AF のハイブリッド AF システムが、R6 では CCD-AF のみになっているようなのである。

ハイブリッドAFシステム (GR BLOG、2006年 1月12日)

Caplio R6 の顔検出機能を知った時、リコーが他社の真似してどうする、と思った。リコーという企業にとってデジカメ事業なんて吹けば飛ぶよな微々たる事業、他社がやらない 28mm からのズームとか 1cm マクロとかレリーズタイムラグの短さとか、個性的な機種を出してこそ意味があるんじゃないか、他社の真似するくらいなら GR DIGITAL とその後継機のみにしろ、と思っていたら Caplio GX100 が出てきた。実売予想価格 8万円って GR DIGITAL と同じじゃないか。どちらもかつての銀塩 GR1v より高い(DATE なしモデル)。8万円出すくらいならもう少しお金出してデジタル一眼レフ買うし、Caplio R シリーズをスペックダウンなんて消費者をなめている。

というわけでこのまま Caplio R6 にするのは悔しいので今はとりあえず OLYMPUS μ780 待ち。上で望遠端手持ちで手ブレしない限界の所でなぜ唐突にこの μ780 が出てきたかというと、TruePic III 搭載だからである。一眼レフの E-410 / E-510 にも採用されているこの TruePic III で高感度画質がどのくらい向上しているか、それを見届けてからでないと決められない。μ780 のディープブルーにも惹かれる。広角 28mm からのズームやマクロ撮影機能(AF ターゲット移動のような)もあきらめねばならないが。ところで Caplio R6 のカタログの表紙写真を見た時、このデザインは μ750 のパクリか? と思った。「Arc & Wedge デザイン」は昨年2006年 8月発表の μ750 からである。

TruePic III 搭載の E-410 は ISO800 までは使えるとのことである。撮像素子のタイプも面積も違うので同じレベルまでは期待しないけれども。納得できないようであれば Caplio R6 じゃなく R5 にしてファームウェアをアップデートする。

リコー、Caplio R5の最新ファームウェアを公開 (2007年 4月12日)

オリンパス、「μ780」に512MBのxDピクチャーカードを同梱 (2007年 4月13日)

4月20日発売のようだがたぶん実売 4万円を切ってから買って別途 xD-ピクチャーカードを買っても同じだと思う。

追記: 4月21日

レビュー記事を追加。

気になるデジカメ 長期リアルタイムレポート オリンパス CAMEDIA SP-550UZ【第1回】ウルトラズーム登場 (デジカメWatch、2007年 4月13日)※これ以降はバックナンバー参照のこと。

薄型なのに手ブレも広角もマクロもOK——リコー「Caplio R6」 (ITmedia +D LifeStyle、2007年 4月13日)

秒間15コマ連写で瞬間を切り取る——オリンパス「SP-550UZ」 (ITmedia +D LifeStyle、2007年 4月18日)

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