エントリー機がフラッグシップ機並みの画質を目指すということ

銀塩カメラの世界ではレンズとフィルムで写真の画質が決まる。カメラが高価な新品だろうが中古だろうがあまり関係ない。例えばレンズがコシナのカールツァイス ZF レンズでフィルムが同じであれば、カメラが Nikon F6 でも FM10 でも基本的に同じ画質の写真を撮れる。コストパフォーマンス重視で F6 の機能は不要と考える人は FM10 なり中古で New FM2 などを買えば満足できる。それが銀塩カメラの世界の常識なのだが、デジタル一眼レフの世界にはその常識があまり浸透していないようなのである。私がデジタル一眼レフに移行できない理由の一つである。

昨年2007年 3月にもこの記事で同じことを書いて、オリンパスは低価格のエントリー機もプロ向けのフラッグシップ機も原則として同じ画質性能とするらしい、その方針を歓迎する、と書いた。実際には発売時期のズレから E-410 / E-510 と E-3 の撮像素子は同じにならなかったけれども、今回の E-420 は E-3 と同等の画質だそうである。

【インタビュー】2008年の戦略を訊く[オリンパス編]〜2桁型番への期待は承知している (デジカメWatch、2008年 4月 7日)

E-420に搭載されたセンサーは、まったくの新規設計で作られたものです。ダイナミックレンジが拡がり、E-3に採用されたものと同等の性能になっています。特にハイライト側が大きく向上しました。

実際には特に高感度画質で不満が出ているかもしれないが、低価格機も高級機も画質面では同等にするという方針は基本的に変わっていないようで安心した。「仕上がりモード」も E-3 は「VIVID、NATURAL、FLAT、PORTRAIT、モノトーン」の他に「カスタム」がある程度で、それ以外は E-420 もほぼ同じである(ニュースリリースの「主な仕様」を参照)。

ここで問題にしたいのは、オリンパス以外のデジタル一眼レフである。

Nikon D300 には「ピクチャーコントロール」があるのに D60 にはない。「アクティブ D-ライティング」も D300 は「強め、標準、弱め」の 3段階から選択できるのに対し D60 は「ON(オート)」しかない。D60 にはライブビュー撮影機能もない。そもそも撮像素子からして CMOS センサーと CCD と違うのだがそこをとりあえず無視するとしても、なぜ D300 より後に発売した D60 に「ピクチャーコントロール」を搭載しないのか。低価格機を購入する初心者にニコン共通のプリセットの画質設定や細かな画質調整は不要、欲しかったら D300 を買えということか。低価格機は子供騙しか。

なおここでは Nikon D3 や Canon EOS-1Ds Mark III などのいわゆる 135 判(35mm)フルサイズ機は比較対象とせず、一般的な APS-C サイズ機のみを見る。撮像素子の面積が違えば画質は明らかに異なるし、ソニーが年内発売を予告したフルサイズ機も含めて、これらは同じレンズマウントを共用する別のシステムと考えている。銀塩で言えば 135 判一眼レフと中判一眼レフが同一のマウントを採用しているようなものであろう。

次に SONY α700 と α350 / α200 について。α700 の「クリエイティブスタイル」は14種なのに対し α350 / α200 は 8種しかない。なぜ低価格機で「クリエイティブスタイル」を出し惜しみする? 付属の RAW データ現像ソフト Image Data Converter SR にクリエイティブスタイル機能があるようなので RAW で撮ってそっちでなんとかできるかと思ったら、クリエイティブスタイル機能があるのは α700 に付属の Ver.2.0 だけのようである。そこまでことごとく出し惜しみするか。それよりも Adobe RGB がクリエイティブスタイルの中の一つとなっているのが納得いかない。Adobe RGB の色空間で「ビビッド」というのはできないのか。

「Dレンジオプティマイザー機能」にしても α350 / α200 はスタンダードとアドバンスしかないが、α700 はスタンダードとアドバンスオートの他にアドバンスレベル設定 5段階 Lv1(弱)〜 Lv5(強)から選択可能で、さらにアドバンスブラケット撮影機能もある。このあたり Nikon D300 と D60 の「アクティブ D-ライティング」の差別化と同じ。ちなみにオリンパスでは「仕上がりモード」の「カスタム」を除けば E-3 も E-420 も「階調」設定は「オート、ハイキー、標準、ローキー」の 4種類となっている。この「階調オート」(シャドー・アジャストメント・テクノロジー)がソニーの「Dレンジオプティマイザー アドバンス」と同様の機能。

α700 で CMOS センサーに「Exmor」と名付けてブランド化すると言っていたのになぜそれを α350 / α200 で採用しないのかもわからない。それから α350 のライブビュー撮影機能、かつての OLYMPUS E-330 の「Aモード」のような専用イメージセンサーによるライブビューしかないので、拡大表示が 1.4倍と 2倍まで、視野率も 90%、ライブビュー時は専用イメージセンサーによる測光となるので通常撮影時と露出がズレるかもしれない。2倍までしか拡大できないライブビューって必要か? ライブビューはマクロ撮影等で MF をやりやすくするためにあるものじゃないのか? ハイアングル / ローアングル撮影のためだけの中途半端なライブビューなら必要ない(追記参照)。

最後に PENTAX K20D と K200D であるが、K200D にライブビュー撮影機能がないだけで画質面での性能差はほとんどないようである。撮像素子が違うくらいか。サムスンとの共同開発という K20D の CMOS センサー、撮像素子表面のマイクロレンズの高さを抑えて受光部に近くし、さらにマイクロレンズ間の隙間をなくすことで、斜めから入ってくる光も捉えやすくしたとのことだが、それは従来の APS-C サイズ一眼レフの撮像素子はやはり斜めからの入射光に弱い、だから特にレンズの絞り開放時に周辺部の画質が劣化する、ということを公式に認めてしまったことになるな。ソニーやニコンやキヤノンの最近の撮像素子がどうなのかは知らないが。そしてフルサイズ機となると

ニコン、D3に新機能「ヴィネットコントロール」を追加 (デジカメWatch、2008年 4月15日)

こんな風に画像処理で補正するしかないようである。画像処理で諸収差補正しまくりという感のある D3 においては、写真の画質はレンズではなく画像処理エンジンが決めるという思想のようだ。古いニッコールだろうがコシナのツァイスレンズだろうが全部同じ色になるのだろうか。各レンズの独特の描写なんて関係ないのか。

私がオリンパスを支持するのは画質だけでなく、フォーサーズ規格の設計思想を支持しているからである。撮像素子は銀塩フィルムと違って斜めからの入射光に弱いという特性を考慮して、撮像素子とイメージサークル径に対してマウント径を大きめにし、さらにレンズは基本的にテレセントリック設計とすることで、撮像素子周辺部にも光がほぼまっすぐ入るようにしたのがフォーサーズである。OM-1 のボディサイズを念頭に置いてこのように理詰めで考えていったら撮像素子は 4/3 型となったとのことである。E-3 はかなり大きく重くなってしまったが、あれは E-1 からかなり間が空いてしまったので小型軽量はとりあえず棚上げにして最新の技術をできる限り詰め込んだらああなった、ということであろう。次のフラッグシップ機はもう少し小さくしてくると思う。

さて K20D と K200D だけは非難できなかったけれども、私は小型軽量最優先なので、小型軽量を捨てた PENTAX は選択肢にない。それからペンタックスは HOYA 株式会社の一事業部となってしまったので、将来どうなるかわからないという不安もある。HOYA 経営陣の一存で Samsung に売却されてしまうかもしれない。PENTAX のシステムを揃えたとして、たとえ PENTAX というブランドが残ったとしても、それが韓国企業のものとなってしまうのは心情的に抵抗がある。ドイツ由来のツァイスやライカ D レンズやフォクトレンダーブランドの製品を日本企業が作るのはいいが、日本由来のブランドが韓国企業に奪われてしまうのは耐えられない。だから PENTAX は選ばない。

Canon についてはまたの機会に触れる。

追記: 4月24日

α350 のライブビュー撮影機能にはそもそも拡大表示機能がなく、1.4倍または 2倍に拡大できる「スマートテレコンバーター」というのはコンパクト機によくあるような、画像の中央部分を切り取る擬似ズーム機能であった。最大画像サイズ 4592 x 3056 ピクセルの中央部分 3408 x 2272 ピクセルを切り取って約 1.4倍、標準ズームレンズキットの DT 18-70mm ならテレ端の画角が 105mm 相当→約 147mm 相当になるということであった。勘違いしていた。

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