美しくボケるために、大型撮像素子コンパクト機

リコーの初代 GR DIGITAL が発表される前、APS-C サイズや 35mm 判フルサイズの撮像素子搭載を望む声があるのを知って、そんな大きな撮像素子は無理だ、どんなに頑張っても 2/3 型 CCD が限界だ、と書いたことがある(2005年 5月 5日)。実際初代 GR DIGITAL は 1/1.8 型 CCD となった。そしてその面積の CCD で ISO400 以上の高感度で銀塩並みの画質が得られるか、ダイナミックレンジが狭い問題にどう対処しているか、ということを当時から気にしていた(2005年 9月22日)。あれから約 3年半。リコー GR DIGITAL シリーズ、GX シリーズの他、パナソニック LUMIX LX シリーズ、それからキヤノンやニコンの同等製品を見ても、高感度画質やダイナミックレンジの問題が解決されたとは決して思えない。画素数が増えて高精細になっただけで、ダイナミックレンジの拡大を画像処理ソフトウェアに頼り、高感度もデジタル一眼レフの撮像素子の画質にはいつまでも及ばない。

高感度はこれで充分という人もいるだろうが、ダイナミックレンジ含めてデジタル一眼レフより悪いというのは俺は納得できない。なぜなら銀塩カメラでは一眼レフだろうがコンパクト機だろうがフィルムが同じなら画質は変わらないからである。レンズ付きフィルムや安価なコンパクトカメラは別として、富士フイルム KLASSE W/S で撮った写真が、ニコン FM10 に安いニッコールレンズを付けて撮った写真より画質が悪いなんてことはない。銀塩ではコンパクト機が一眼レフ(用交換レンズ)の画質を超えることもあるのに、デジタルではそれがない。デジタル一眼レフもエントリー機は値下がりして GR DIGITAL シリーズのような高価なコンパクト機と同じくらいの値段になったが、画質は決定的に違うのだから、いくらコンパクト機は小さいからいつでも持ち歩いて気軽に撮れるといっても、銀塩カメラの感覚で考えると理不尽に感じるのである。

ところで KLASSE は最近オープン価格になって値下がりしたようである。家電量販店で KLASSE W が 69,800円、KLASSE S が 59,800円。2年で世代交代する GR DIGITAL シリーズと、フィルムを使うからランニングコストがかかるとはいえ10年は使えて画質は一眼レフ並みの KLASSE W/S と、どちらが所有する価値が高いか。ついでに中島みゆきが富士フイルムの化粧品の TVCM でセルフタイマーで自分を撮っていたカメラは NATURA CLASSICA、これは 3万円未満で買える。

コンパクトデジカメではもはやコンパクトとは言えない富士フイルム FinePix S100FS が 2/3 型 CCD で、これより大きいのはシグマ DP1 のみである。APS-C サイズと言うには一回り小さい Foveon X3 ではあるが、これに 28mm 相当の広角単焦点レンズで製品化できたんだから、シグマにできて他社にできないはずはないと思うのだが。デジタルでは撮像素子周辺部に斜めに光が入ってくると結像しにくく画質が乱れるという特性があるが、これは広角レンズほど顕著に現れると思われる。それを絞り開放 F4 とはいえ実現できたんだから、準広角から標準の画角であればもっと明るいレンズにできるだろう。そこで DP2 である。

デジタル一眼レフの要素をコンパクトなボディに収めた1,400 万画素高画質デジタルカメラ DP2 開発発表 (シグマ、2008年 9月23日)

41mm 相当 F2.8 と知った時、ローライ35Sを連想した。Rollei Sonnar 40mm F2.8 HFT レンズ採用の 35mm フィルムコンパクトカメラ。DP1 も開発中の DP2 も光学ファインダーがないようであるが、ローライ35のような外観だったら惹かれるのにな。単焦点レンズなんだし、銀塩コンパクトと同じ感覚で光学ファインダー覗いて非ライブビューでも撮れるようにしたらどうか。コントラスト AF だとどこにピントが合ったか光学ファインダーで確認できないけれども、ピント合わせが目測のローライ35よりはましだろう。適度に絞って適度に被写体との距離を取れば被写界深度は深いのでそんなにピントを気にする必要はない。

「DP2」は2009年前半の発売を目指す (デジカメWatch、2008年 9月30日)

シグマの一眼レフ用交換レンズ 50mm F1.4 EX DG HSM は光学設計の段階からボケ味を意識して作ったという。DP2 のような大型撮像素子採用コンパクト機のアドバンテージは、高感度画質やダイナミックレンジ以外では、絞りを開けての近接撮影で背景がボケる、つまり絞り優先 AE が本来の意図通りに機能する点であろう。小さな撮像素子のコンパクト機では絞っても開放でもたいして変わらないのでつまらない。いつもマクロで撮る訳じゃないし。Foveon X3 は今のところ高感度に弱いので、せめて 24.2mm(実焦点距離) F2.8 のレンズはボケ味の美しいレンズとしてほしい。

といっても俺は DP2 を買う予定はない。普通のデジタル一眼レフで RAW で撮ってもパソコンで現像処理は面倒くさくてあまりやらないだろうと思ってるのに、RAW を前提とする Foveon X3 のデジカメを買う気にはならない。安物のパソコン用モニタで現像処理したってその JPEG 画像が他のモニタでどのように見えるのか、プリントしたらどんな色になるのかわからないし、たかがデジカメ写真のために高価なモニタやパソコン買って色再現を追い込むなんて面倒だ。写真以外にもやりたいことがたくさんある。だから Foveon X3 であれ他のデジタル一眼レフであれ、カメラの生成する JPEG 画像を中心に扱うことになる。銀塩でもフィルムをスキャナでデジタルデータ化しないのは同様の理由による。

そして他社であるが、シグマに DP1 ができて他社に同等の製品が作れないはずはないと思うのだが。需要はあるはずである。自社のデジタル一眼レフのエントリー機と競合してしまうからやらないのか。オリンパスがキヤノン PowerShot G10 クラスの機種すら出さないのはマイクロフォーサーズがあるからだろう。パナソニックも LUMIX G1 が売れているようなのでもしかしたら LX3 の次はないかもしれない。

ならば富士フイルムはどうか。APS-C サイズというかキヤノン EOS 50D や Kiss シリーズと同じくらいの一回り小さい撮像素子を作って、レンズは KLASSE W と同等のスーパー EBC フジノン 28mm F2.8 とすれば、35mm 判換算の画角は 1.6倍なので 45mm 相当となる。24mm なら 38mm 相当。スーパー CCD ハニカム EXR なら高感度に強い。KLASSE のデジタル版としてどうか。

人間の眼のメカニズムに近づいた画期的なCCD「スーパーCCD ハニカム EXR」新開発 (富士フイルム、2008年 9月24日)

富士フイルムは2002年にオリンパスと Kodak がフォーサーズ規格を発表した時からフォーサーズに賛同している(※)のに、これまでフォーサーズに対して何もしてこなかった。だからむしろ 4/3 型スーパー CCD ハニカム EXR を作ってフォーサーズ/マイクロフォーサーズ機に供給するなり、ボディでも参入するなりすればいいのに。パナソニックの Live MOS センサー以外の選択肢があってもいいと思う。そしてシグマの完全子会社となった Foveon にも 4/3 型撮像素子に参入してほしい。

三層構造イメージセンサー開発企業Foveon社の買収について (シグマ、2008年11月11日)

三社で撮像素子を共同開発したらどうなるだろう。低消費電力で受光部の面積がフルフレームトランスファ CCD 並みに大きく、三層構造で、受光部が八角形でダイナミックレンジが広い撮像素子、名付けて「Live MOS X3 ハニカム EXR」とか。さすがに無理か。

デジタル一眼レフカメラの新規格「Four Thirds System(フォー・サーズ・システム)」の採用で合意 (オリンパス、2002年 9月24日)

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