「マイクロ一眼」というより、中望遠も接写もできる「M型ライカ風」カメラ

●ポケットに入れるか?

オリンパス PEN E-P1 は昔のライツミノルタ CL とほぼ同じ大きさ、M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 はコシナ フォクトレンダー COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 P II とほぼ同じ大きさ。それぞれのカメラボディの幅 x 高さ x 奥行きと質量、レンズは最大径 x 全長と質量を以下に示す。

オリンパス PEN E-P1: 120.5 x 70.0 x 35.0mm、約 335g
ライツミノルタ CL: 121 x 76 x 32mm、375g(ボディのみ、M-ROKKOR-QF 40mm F2 付きで 510g)

ミノルタの歩み 1973 (コニカミノルタ)

M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8: 57 x 22mm、71g
COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 P II: 55 x 23mm、134g

宮崎あおいが出演しているという TVCM を OLYMPUS PEN スペシャルサイトで見たが、そんな所のポケットに入れたら大きすぎて歩きにくいよ!というツッコミを期待しているに違いない。ライツミノルタ CL に COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 P II を付けてポケットに入れようとする人はまずいないだろう。

ましてやコンパクトカメラのように右手片手だけで持って撮ろうとするなんてもってのほかである。ライツミノルタ CL や ミノルタ CLE を見てそんな持ち方で撮ろうとした人はいないだろう。

●「手ブレしやすいカメラ」ではない、構え方がおかしい

一眼レフやレンジファインダーは光学ファインダーがあってそれを覗きながらシャッターを切るから、カメラ本体を額に近づけて持つので手ブレしにくいが、PEN E-P1 はライブビュー撮影だからコンパクトデジカメと同じようにカメラ本体を顔から離して持つので手ブレしやすい、という意見があるらしい。でも実際には眼鏡を掛けているとファインダー接眼窓から少し離れて覗くし、E-P1 はボディ底部のほぼ全体を左手の手のひらの上に乗せてしまえる大きさである。カメラを左手の手のひらの上に乗せて、左手の指でレンズの根元を押さえる。そうすれば、右手側に大きなグリップのある一眼レフを右手片手だけで持って撮るより手ブレしにくくなるはずである。E-P1 でも長いレンズを付ける場合は一眼レフと同じように左手でレンズを持てばいいだろう。前にも書いたがカメラは左手で持つものである

●ソフトウェアで補正しているのは歪曲収差だけか

【インタビュー】オリンパス「E-P1」の開発意図と狙い (デジカメWatch、2009年 6月17日)

「E-P1にはレンズ収差補正のための仕組みがあり、その仕組み内であれば、さまざまなレンズとの組み合わせでも適切な補正が行われます。その範囲内であれば、電子補正は採用しても構わないと考えています。大切なことは、それぞれのレンズを付けた時に、きちんとした写真が撮れることです」

パナソニック LUMIX G1 はレンズの収差をソフトウェアで補正しているのではないか、と言われていたが、オリンパスが公式に認めたということは、ソフトウェアによる収差補正もマイクロフォーサーズ規格の中に取り込まれているということらしい。レンズ小型化の代償としてそういう手法を選んだということなら、どちらかというと残念である。昨年秋にキヤノンの「レンズ周辺光量・自動補正」への疑問を書いた時に、ソフトウェアによる補正はレンズ設計というハードウェア面でどうにもならなかった場合の最後の手段とすべきであり、ソフトウェア補正前提でレンズ設計するとしたらそれは手抜きである、そんな手抜きレンズはいらない、ということを書いた。

ただし本当に残念ではなく「どちらかというと残念」と今書いたのは、歪曲収差のソフトウェア補正に限っては「あまり抵抗を感じない」とその時書いたからである。「アサヒカメラ」2009年 7月号の E-P1 特集記事の開発者インタビューでは「歪曲補正の機能を搭載しています」とだけ答えている。

補正しているのが本当に歪曲収差だけならば、まあ受け入れよう。でも将来的にニコンやペンタックス K-7 のように倍率色収差まで補正したりしないだろうか。ニコンの「ヴィネットコントロール」やキヤノンのように周辺光量落ちまで補正したりしないだろうか。そこまでしてしまったら、もはやフォーサーズではない。2002年から「デジタル専用設計」とか「レンズはテレセントリック設計」とか主張してきたのは一体何だったのか、となってしまう。そうならないことを願う。

超小型・軽量設計を実現した超広角ズームレンズ「ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」を発売 (オリンパス、2008年 5月13日、2008年 9月18日更新)

このニュースリリースの昨年 9月18日に更新した部分、「主な特長」以下に「広角系レンズに発生しやすい倍率色収差を徹底補正」とある。倍率色収差もレンズ設計で回避するのが本来の姿であろう。ニコンは古いレンズ資産への対応が主な目的のようだが、ペンタックス K-7 で倍率色収差補正機能を利用できるのは DA レンズと D FA レンズのみ。APS-C サイズ撮像素子機専用設計の DA レンズとデジタル対応の D FA レンズで倍率色収差が発生するということは、デジタル用でありながら撮像素子の特性等を考慮しない間抜けレンズをペンタックスは作っていたということになる。

●レンズは単焦点を中心に、「接写もできる京セラ CONTAX G」を目指してほしい

「アサヒカメラ」2009年 7月号の開発者インタビューに「ある程度歪曲収差を認めて設計できますので、そのぶん小型化を実現しています」とある。ズームレンズを作ろうとするから歪曲収差を回避できなくなってソフトウェア補正に頼ってしまうのではないか。単焦点レンズ中心にすればいいだろう。ズームレンズの便利さの恩恵を受けたい人は E-620 や他社のデジタル一眼レフを選べばいい。選択肢はいくらでもある。

単焦点レンズも M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 は小型化しすぎである。かえってカメラを構えにくい。冒頭に書いたようにライツミノルタ CL 並みのカメラをポケットに入れるわけないんだから、レンズも適度な長さはあっていい。コシナの COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 P II は銀塩レンジファインダー向けだから小さくできたのであって、マイクロフォーサーズレンズは原則としてテレセントリック設計という制約があるはずだから、無理して小さくして画質を犠牲にすることはない。同じコシナの Carl Zeiss C Biogon T* 2.8/35 ZM でレンズ全長 29.8mm(マウントより)。このくらいの長さでも良かった。

コシナのライカ M 互換マウントレンズを見ていると、銀塩向けとはいえ単焦点なら十分小さくできるということがわかる。もちろん歪曲収差のソフトウェア補正など不可能なカメラ向けであるからレンズ設計でそれを抑制している。

PEN E-P1 はレンジファインダー風の外観であるが、これらライカ M マウントのレンズをマウントアダプタ経由で使用すると、例えば 35mm のレンズは 70mm 相当の画角に、50mm のレンズは 100mm 相当の画角になる。

銀塩レンジファインダーカメラは内蔵距離計でピントを合わせるので、中望遠以上の焦点距離になると被写界深度が浅くなってピント精度に不安が出てくる。逆に広角は、一眼レフのようなミラーがカメラ内部にないので広角レンズの設計自由度が高くなり、小型レンズを作りやすい。被写界深度も深いのである程度絞ればピント合わせは目測でも間に合う。という特徴があるので、銀塩レンジファインダーで撮る場合は広角〜標準が中心になり、中望遠は避けることになる。でもレンジファインダー用レンズをマウントアダプタ経由でマイクロフォーサーズ機で使うと、画角は準標準〜中望遠となる。銀塩レンジファインダーしか持ってない人間には非常に好都合である。

しかもライブビュー撮影であるから視野率100%でパララックスも全くないのでマクロ撮影がしやすい。銀塩レンジファインダーカメラは距離計連動範囲が最短 0.7m まで、光学ファインダーは撮影用レンズと別の光学系であるから視野率100%になり得ない。だからそもそもマクロレンズがない。

M型ライカ(とその互換カメラ)は MF であるが、過去に京セラ CONTAX G1/G2 という独自マウントの銀塩 AF レンジファインダーカメラがあった。PEN E-P1 などのマイクロフォーサーズ機はその CONTAX G シリーズのような、さらに中望遠も不安なく、マクロも撮れるシステムを目指してほしい。

パナソニックが 45mm F2.8 のマクロレンズを予定しているようなのでまずはそれを待って、あとは広角単焦点、具体的には 12mm F3.5 のレンズが欲しい。

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