「オリンパス・ペンのフィロソフィー」を具現するなら XA のデジタル版を

●デジタル一眼レフに「ステップアップ」できないのではない、あえてしないのである

PEN E-P1 はコンパクトデジカメをレンズ交換式にしたに過ぎないとか、いわゆる 35mm 判フルサイズ撮像素子のデジタル一眼レフを主力機として使いつつこれをサブカメラとして使うとか、そういう「上下関係」で捉えるのはいい加減やめにしないか。デジタル一眼レフカメラのシステムが頂点にあって、底辺にコンパクトデジカメがあるという、ピラミッド型の構図からはもう解放されたい。そのヒエラルキーはメーカーがメーカーの都合に合わせて勝手に作ったものじゃないのか。そんなものにユーザーが縛られる必要はない。我々はただ「いい写真」が手軽に撮れる「良いカメラ」が欲しいだけである。

コンパクトデジカメとデジタル一眼レフの間に E-P1 等マイクロフォーサーズ機を位置付けるのもやめてほしい。オリンパスにもパナソニックにも、そういう位置付けで製品作りをしてほしくない。

もっときれいな写真を撮りたい、デジタル一眼レフならきれいな写真が撮れるらしい、一眼レフ持ってるとなんかカッコイイ、という感覚を持っているのは三十代までだと思う。いまどきの若者は就職して社会人になっても車を欲しがらない、自動車の免許持ってない者も多いらしい、という声を聞くがそれと似ているかもしれない。昔は車の所有がステータスシンボルで、それによって大人の仲間入りをしたと実感したようだ。でも今の二十代以下の若者は遅くとも子供の頃にはバブルが崩壊しており、自分にとって本当に必要な物しか買わない、できるだけ安い物を買う、という習慣が染み付いている。

そういう消費行動の結果買うデジカメは、やはりごく普通のズームレンズのコンパクトデジカメになってしまうんだろう。頑張ってもせいぜいリコー GR DIGITAL シリーズかパナソニック LUMIX LX3。「いい写真」が手軽に撮れる「良いカメラ」を財布と相談しながら選ぶとそうなる。

もちろんその過程で、本当はデジタル一眼レフに魅力を感じたけれど手が出ないから諦めた、という人もいるだろう。理由はいろいろありそうだ。10万円も出して 3〜4年で買い換えたくなるなんてお金がかかり過ぎるとか。中古の OM-1 + 50mm F1.4 なら 2万円以下で買える。たかが写真ごときにそんなにお金を使いたくない、というのが普通の人の感覚である。たくさん撮るわけじゃないなら銀塩一眼レフの中古の方が安上がりである。フィルム代と現像・プリント代を合わせても。

そういえばパナソニック LUMIX G1 が昨年秋に発売された時「女流一眼隊」という宣伝をしていたが、その世代の本当に時間とお金のある女性はすでにカルチャーセンターとかの写真教室に通って写真を習っていて、その流れで中古の一眼レフカメラを買って使いこなしているだろう、と思った。パナソニックが狙っているのはそれに「出遅れた」女性達なのか、それともパナソニックがそういう現状に気付かずに「出遅れた」のか。

デジタル一眼レフに魅力を感じたが諦めた理由として他に思いつくのは、高感度画質だろう。オリンパス E-3 のキャッチコピーは「もう、撮れない世界はない。」だったが、普通の人からすれば高いお金を出してまで何でも撮りたいとは思わない。「もう、撮れない世界は撮れない」と諦めるのが普通の人である。暗い所で写真は撮らない。高感度がプリクラ画質でも誰が写っているかわかれば OK。その辺を妥協できれば高感度はどうしても必要ではない。

動きの早いものは写真よりビデオカメラで動画を撮ってしまえばいいし、超望遠は高倍率ズーム機がある。これらを考えるとどうしてもデジタル一眼レフが必要だという理由が見当たらない。

●「レンズ交換式カメラシステム」という「男の発想」を捨てよ

例えばニコンのデジタル一眼レフを買って、ニコン F マウントのレンズを何本も揃えて、レンズを交換して広角から標準、中望遠、望遠といろんな画角で写真を撮ろうとする、というのは「男の発想」だと思う。女性はたぶん写真さえ撮れればそれでいいだろうから、一眼レフとセットで買った標準ズームレンズ一本だけで満足してしまうかもしれない。望遠ズームレンズも買ったとしても、一定期間使ったら飽きてしまってまた標準ズームに戻り、その後は本当に時々しかレンズ交換しなくなるかもしれない。

メーカーとしては交換レンズを何本も買ってもらうことで利益を上げたいので、レンズ交換式カメラを用意し、デジタルではカメラ本体も数年おきの買い換えを期待できるのでさらに儲かるのだろうが、我々使う側にとっては負担である。ならばたかが写真、コンパクトデジカメでいいか、となってしまう。

●最も売れたのは Pen EE シリーズ、それに近いのはリコー GR DIGITAL シリーズ

オリンパス、「E-P1」の発表会を開催 (デジカメWatch、2009年 6月16日)

「小型軽量、独創的な機構、魅力あるデザインというペンのフィロソフィーを受け継ぎ、50年のときを超えてデジタルカメラになった」と社長が言っているが、かつての Pen の本流はレンズ一体型のコンパクトカメラであり、レンズ交換式一眼レフの Pen F システムは派生物である。

Pen の「フィロソフィー」(哲学、思想)がどうだったかはともかく、最も売れたのは Pen EE シリーズである。従来のカメラという機械の操作が苦手な女性にも簡単に扱えること、写真撮影の知識を持たない人でも手軽にきれいな写真が撮れることを目指したものである。これに対し Pen F/FT/FV はあくまで一眼レフであり、写真を本格的にやりたい人向けであった。子供でもシャッターを押すだけで撮れる Pen EE シリーズとは性格が異なる。

カメラ開発秘話 オリンパス スピリット (FotoPus / オリンパス)

Vol.14 あたりから Vol.18 までが Pen EE の話である。

Pen EE シリーズに近いコンパクトデジカメが現在あるとしたら、リコー GR DIGITAL シリーズだろうか。他の普通のコンパクトデジカメと比較して本当に「きれいな写真」が撮れるかどうかは意見が分かれるが、それなりに支持されていることは確かである。

パナソニック LUMIX LX3 やキヤノン PowerShot G シリーズの方がズームレンズで便利だろう、とカメラを知っている人間は思ったりするが、そうでない人にとってはズームなど重要でないようだ。もちろんカメラにこだわりのある人もあえて単焦点の GR DIGITAL を選ぶことはあるが、そういう人とは違う感覚で、「広角」とか「画角」とか「マクロ」とかいう言葉を知らなくても、自分なりに工夫して写真を楽しんでいるようである。

●フォーサーズと同じ面積の撮像素子でコンパクトデジカメ

パソコンが苦手で RAW 撮りはおろかファームウェアアップデートで機能拡張できることも GR BLOG の存在すら知らない人にも GR DIGITAL は受け入れられている。そういう人にとって GR DIGITAL は「パソコンの周辺機器」ではなく、銀塩カメラと同じような純粋な「写真機」である。きれいな写真を撮りたいと思ったら欲しくなるのはカメラであって、電子機器ではない。デジタル一眼レフ等で RAW で撮ってパソコンで現像処理という作業は非常に煩雑であるし、パソコンの性能や使う人のスキルにも依存する。それなら銀塩カメラでネガやポジで撮って現像・プリントを業者に任せてしまった方が楽である。

GR DIGITAL は口コミまで含めたブランド力によって、銀塩時代の GR シリーズを知らない人々にまで波及していったのだが、何といっても簡単に撮れることであろう。そしてファームウェアアップデートによる機能拡張や RAW でも撮れることで玄人受けもする。この二面性によって広く支持されてきた。

PEN E-P1 のようなレンズ交換式デジカメではなく、Pen EE シリーズのようなレンズ一体型コンパクトデジカメを作ったらかなり売れるのではないか。フォーサーズ/マイクロフォーサーズと同じ 4/3 型撮像素子で。

オリンパスの過去の製品に XA というのがあった。距離計内蔵のマニュアルフォーカスで絞り優先 AE でも撮れる銀塩コンパクトカメラである。今の技術なら使い方によって XA にも Pen EE にもなり得るコンパクトデジカメを作れる。GR DIGITAL もその一つだが、いわゆる「フォーサーズコンパクト」なら E-P1 と同じく「一眼画質」を謳うことができてアドバンテージになる。

すでにシグマ DP1/DP2 という製品があるが、あれは RAW 撮影で真価を発揮するデジカメとされているので Pen EE のような手軽さはないし、高感度は苦手である。

●有効1000万画素、17mm F3.5、あるいは 14mm F3.5 で立方体型の μ TOUGH とか

撮像素子は E-3 / E-420 / E-520 と同等の有効1000万画素でいい。E-30 / E-620 / E-P1 の有効1230万画素ハイスピード Live MOS センサーは ISO オート時の最低感度がデフォルトでは ISO200 となっている。ISO100 ではダイナミックレンジが狭くなるらしい。

オリンパス「ペン E-P1」、機能と操作性を大解剖 (日経トレンディネット、2009年 7月21日)

この記事の 5ページ目の最初の 2枚の写真、同じ場面で撮ったものなのに ISO100、F8、1/320秒に対し ISO200、F8 では 1/800秒となっている。ISO100 で 1/320秒なら ISO200 では 1/640秒になるはずだし、逆に ISO200 で 1/800秒 なら ISO100 では 1/400秒になるはずなのにそうなってない。おそらく ISO200 ではあえて 1/3EV 露出アンダーに撮って明るい部分を白飛びしないようにし、暗い部分を画像処理エンジンが明るくしているのではないか。階調オートでなく階調標準でもそうしているのであれば、1230万画素は画素数を増やしすぎた。ノイズが増えているのはこういう画像処理のせいではないか。画像処理でダイナミックレンジを拡大するのではなく、撮像素子自体のダイナミックレンジを広くするべきである。フォーサーズは有効1000万画素程度が上限であったようだ。

XA 初代機は 35mm F2.8 だったが、レンズの画質は XA2 の 35mm F3.5 の方が評価が高い。M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 も評価が低いので、XA のデジタル版とするなら 17mm F3.5 がいいだろう。

オリンパスのコンパクトデジカメに防水防塵耐衝撃の μ TOUGH シリーズというのがあるが、あれの「フォーサーズコンパクト」版ということにするとインパクトがあるのではないか。水中撮影向けとなるとレンズは広角で 14mm F3.5 がいいだろう。撮像素子が 4/3 型だとさすがに屈曲光学系レンズユニットというのは単焦点でも無理だろうから、昔のルービックキューブのような立方体型のデジカメなんてのはどうか。内蔵フラッシュはポップアップで。カメラとして構えにくいかもしれないが、室内で飼っている犬にコロコロといたずらされそうだ。

追記: 7月26日

よく考えたら、内蔵フラッシュをポップアップ式にしたら防水防塵耐衝撃をクリアできないんじゃないか。とすると現行の μ TOUGH と同様の固定式か。

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