レンズと撮像素子を切り離せない「デジタル専用原理主義」

リコー GXR と同時発表のカメラユニット「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」の撮像素子が APS-C サイズと知って、35mm 判換算 75mm 相当か、と最初は思った。

ニュースリリース (リコー、2009年11月10日)

でもよく見るとレンズの実焦点距離は 33mm、35mm 判換算で 50mm 相当ということのようである。50mm じゃないのに製品名に「50mm」と入れてしまうリコーの独自規準は果して認められるのだろうか。ニコン DX、キヤノン EF-S、ペンタックス DA、ソニー DT いずれもレンズの実焦点距離を製品名に入れている。DX NIKKOR 18-55mm であって 27-82.5mm ではない。

リコー、“ユニット交換式”デジタルカメラ「GXR」 (Impress デジカメWatch、2009年11月10日)

リコー、ユニット交換カメラ「GXR」の発表会 (Impress デジカメWatch、2009年11月10日)

「GXR」という名称の由来は「GX」と「XR」だそうである。じゃあなぜレンズ名称は RIKENON じゃなくて GR なのか。

レンズ・撮像素子・画像処理エンジン一体型にすることで、レンズに最適化した撮像素子・画像処理エンジンにできるとのことである。とするとこの先も APS-C サイズ撮像素子搭載ユニットが製品化されるとして、それも買うとしたら、ほぼ同じ撮像素子を複数買わされる羽目になるわけだ。ローパスフィルターまでレンズに最適化した「ベストマッチング」が嬉しい人もいるのかもしれないが、そこまで最適画質にこだわって撮像素子を複数所有したいとまでは思わない。

それから銀塩カメラにおいて、このレンズに最適なフィルムはこれ、と決めるのは撮影者であって、レンズメーカーやフィルムメーカーではない。撮影者によって好みが違うだろうから、同じレンズであっても最適と考えるフィルムは人によって違うだろう。リコーというレンズ・画像処理メーカーの考える「最適」なシャープネスや色再現が気に入らない人もいるかもしれない。

それはともかくレンズ・撮像素子・画像処理の「ベストマッチング」を求めるなら、ライカ X1 のような従来型のレンズ固定式コンパクトデジカメでいい。ライカ X1 を見て、APS-C サイズ撮像素子は有効1220万画素程度でどうやら成熟してきたようだ、と感じていただけに残念である。

それと GXR の場合はコントラスト AF であるから、マクロはともかく標準レンズとして使用する場合は AF 合焦速度に不満を感じるかもしれない。ペンタックス K-x に DA35mmF2.8 Macro Limited の方が位相差 AF もコントラスト AF も使えて快適であろう。

簡単操作の小型軽量デジタル一眼レフカメラ 「PENTAX K-x」新発売 (ペンタックス、2009年 9月17日)

ちなみに K-x では昔の K マウント XR RIKENON レンズも使える。さらに撮像素子シフト式手ブレ補正もある。

今回の GXR 用カメラユニットで最も残念なのは、33mm F2.5 マクロレンズを他社のレンズ交換式デジタルカメラシステムで使用できないことである。なぜレンズと、撮像素子を含む画像処理部とを切り離せない方式にしてしまったのか。レンズ・画像処理部・カメラの 3つに分離できるようにすれば良かったのに。レンズマウントが例えば K マウントであればペンタックスのデジタル一眼レフでも 33mm F2.5 マクロレンズを使えるし、リコー独自開発のマウントであってもマウントアダプタを用意してマイクロフォーサーズ機などでもそのレンズを使えるようにできる。

「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」カメラユニットは 1/1.7 型有効1000万画素 CCD、GR DIGITAL III やキヤノン PowerShot G11/S90 と同じ CCD である。広角 24mm 相当まで必要ないという場合は PowerShot S90 の 28-105mm 相当 F2.0-4.9 の方が明るい。24mm 相当が必要ならパナソニック LUMIX DMC-LX3 が 24-60mm 相当 F2.0-2.8。どちらもレンズシフト式手ブレ補正搭載である。

GXR ボディ 1つとこのカメラユニット 2つを所有するのと、デジタル一眼レフカメラと PowerShot S90 または LUMIX LX3 を所有するのと、どちらが使い勝手が良いか。どちらが安価に揃えられるか。どちらが現時点でも将来的にも拡張性の点で優れているか。

GXR ボディ 1つだと例えば標準マクロで撮った後に広角でも撮りたいと思ったら、いったんユニットを外して交換しなければならない。デジタル一眼レフとコンパクトデジカメなら 2台で同時に撮れる。ユニット交換が面倒だから GXR ボディ 2つ所有しようと思ってもそれほど安くない。価格面では、GXR ボディ 1つでいいのであれば、K-x に DA35mmF2.8 Macro Limited と上記のコンパクト機どちらかの組み合わせの方が高くなるかもしれない。ソニー α550 に DT 30mm F2.8 Macro SAM なら少し安くなるか。

拡張性は現時点では既存のレンズ交換式デジタルカメラシステムの方が優れている。将来的にはどうなるかわからないが、リコー 1社だけでどこまでできるのか。マイクロフォーサーズだってパナソニックとオリンパスの 2社、シグマも賛同を表明しているし、マウントアダプタ経由でライカ L/M マウントレンズやオリンパス OM、昔のキヤノン FD レンズまで使える。フォーサーズのポリシーが「デジタル専用設計」なのは承知の上で、それでも技術的に可能なら古いレンズも使ってみたい、という要望も許容してくれている。オリンパスも OM レンズ用マウントアダプタを提供し、OM レンズの推奨 F ナンバー範囲と推奨焦点距離(ズームレンズの場合)を公表している。リコー GXR は「デジタル専用設計」をより純化した「デジタル専用原理主義」であろう。そんな狭量なシステムが受け入れられるだろうか。

カメラユニット以外のユニットも計画されているようだが、ワンセグではなくフルセグメントのデジタル 3波チューナーユニットが出たら考えるかな。テレビ番組を SDHC カードに録画する。録画予約だけなら 3.0 型 VGA 液晶でもできるだろう。競合製品は iVDR ビデオレコーダーとなる。

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あらゆるテレビに接続して「iV(アイヴィ)」に直接録画できるデジタルチューナー内蔵iVレコーダー発売 (日立マクセル、2009年 7月 9日)

三洋とマクセルのiVDR録画対応3波チューナがアクトビラ対応 (Impress AV Watch、2009年11月 6日)

リコーにそんな技術があるかどうかは知らぬ。

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